【製造業のDX】進まない企業に共通する課題とは?4つの壁と解決策

市場の変化や人材不足が加速する中、製造業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が避けて通れなくなっています。
しかし実際には、
・業務の属人化
・DXを担う人材やノウハウの不足
・既存システムからの脱却の難しさ
といった課題から、一歩を踏み出せずにいる企業も少なくありません。
この記事では、製造業におけるDXの重要性を整理し、DXを進める上で解決したい課題や成功のポイントを解説します。
この記事でわかること(3行サマリー)
- 製造業DXとは、デジタル技術を活用して現場の課題を解決し、生産性や品質を高める取り組みである
- 製造業のDXは、現場の課題を一つひとつ整理し、身近な業務から変えていくことが大切
- 大がかりな改革ではなく、できるところから始めることが、DX成功への近道である

第2営業部
中尾
業種や規模の異なる多様な製造現場で、課題のヒアリングから導入後のサポートまで一貫して携わり、多くのお客様から信頼をいただいてまいりました。
具体的な事例や成功体験について、ぜひお話しできればと思います。
お客様のビジネスをさらに成長させるお手伝いができるよう、全力で取り組みますので、ぜひお気軽にご相談ください。
DXとは?製造業で注目される理由
AIやIoT技術といった先進的なデジタル技術を活用し、業務効率化やプロセス変革を進めることで、新しい付加価値を生み出す取り組みです。製造業では、製品やサービスの差別化や、競争力強化の実現にDXが期待されています。
かつて日本は「ものづくり大国」と呼ばれ、製造業は主要産業の一つとして発展してきました。しかし現在でもアナログな業務が多く残り、生産性向上の妨げとなっているのが現状です。
裏を返せば、製造業はDXの推進によって大きな成長が期待できる分野といえます。また、ものづくりの工程で生まれる膨大な「データ」をうまく活用できる土台を作れば、新たな付加価値の創出にもつながります。
製造業におけるDXの必要性
製造業がDXを推進することは、業界特有の課題解決にもつながると考えられます。
以下に、製造業がDXにより解決したい主な課題と、取り組み例をまとめました。
DXによって解決したい課題 | 障壁となっているもの・背景 | 取り組み例 |
技術の継承に時間がかかる | ・技術者のナレッジが暗黙知化している ・業務が属人化している | ・デジタル技術を活用したマニュアルを整備し、社内のナレッジを形式知化・標準化する |
慢性的な人材不足 | ・少子高齢化 ・若年層の就労が少ない | ・製造現場にロボット技術を導入し、省人化や自動化を図る ・翻訳ツールなどを導入して、外国籍の従業員でも対応できるようにする |
市場変化への対応に時間がかかる | ・アナログな業務プロセスや複雑化したシステムが残っている | ・システムを導入/刷新して業務プロセスの効率化を図る ・データ活用による意思決定の迅速化を図る |
環境問題への対応が必要 | ・原材料や工場の環境などに、法律や業界ルールによる規制がある | ・原材料/資源の管理、持続可能な経営に向けて、システムを活用する |
製造業DXを阻む4つの壁と解決のヒント
製造業におけるDXの必要性が認識される一方で、なかなか進まないのも実情です。
ここでは、製造業がDX推進に直面しやすい4つの課題と、そこから見えてくる「目指すべき方向性」を解説します。
1.業務が属人化している
製造業DXを阻む最大の壁の一つが、現場の属人化です。
日本のものづくりの現場は、優れた技術者(職人)の経験や勘に依存してきた歴史があり、特定の人材に業務が集中するケースが少なくありません。
属人化が進むと、社内に蓄積された技術やノウハウが「暗黙知」となり、共有が困難になります。結果として、以下のような問題が生じます。
- ノウハウや技術の継承が進まず、人材育成が滞る
- 社内にある知的資産(ナレッジ)を把握できず、DX戦略を立てられない
まずは、誰がどの業務をどのように担当しているのかを洗い出し、社内に眠る知識や情報を「見える化」することが、DX推進の第一歩となります。
2.DXを推進する人材が不足している
次に大きな課題となるのが、DXを担う人材の不足です。
若年層の入職が少なく、高齢化も進んでいる製造業では、慢性的な人材不足に陥っている現場が少なくありません。デジタル人材の確保は特に難しく、業務のデジタル化でデータを収集しても、それを分析し業務に活用できる人材がいないケースもあります。
とはいえ、ITリテラシーの高い人材を外部から確保するのは、どの業界にとっても容易ではありません。
DX推進には、まずは業務効率化でリソースを捻出した上で、人材を育成することが重要です。
また、製造業のDXに精通したベンダーと協力して取り組むことも効果的です。
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3.レガシーシステムから脱却できていない
DX推進を阻むもう一つの壁が、老朽化した既存システム(レガシーシステム)です。
DXは単なる業務のデジタル化ではなく、ビジネスモデルを変革し、新しい価値を創出することを目的としています。しかし、導入から20年以上が経過したシステムを使い続けている企業も少なくありません。
こうしたシステムは、以下のような問題を抱え、DXの土台となる環境を阻害します。
- 柔軟性が低く新技術を取り入れにくい
- 特定の担当者しか構造を理解しておらず、ブラックボックス化している
DXを推進させるためには、古いシステム前提の運用を見直し、柔軟な新基盤へ移行することが不可欠です。。
新しいシステムへの移行は一見ハードルが高いように見えますが、長期的には運用コスト削減や情報資産の活用促進につながります。
4.DXにまわす予算がない
最後に、多くの企業が直面しているのが予算の制約です。
製造業では、設備投資に多くのコストを割かねばならず、DXへの投資は後回しになりがちです。
IoTやAIの導入、自動化ラインの構築などには一定の初期費用がかかります。
また、老朽化したシステムの保守や維持費に予算を取られ、新しい取り組みへの投資が難しくなるケースもあります。
DXは“コスト削減の手段”でもあります。
まずは小さく始め、効果を数値で示しながら社内理解を得ることで、次のステップへの投資がしやすくなります。また、補助金や助成金を活用して初期負担を軽減するのも有効です。
製造業がDXを成功させるポイント
製造業がDXを成功に導くためには、場当たり的にデジタルツールを導入するのではなく、全社的な視点で「土台」を整えることが欠かせません。
現場の課題や組織文化を踏まえつつ、効果的に推進するための共通ポイントを紹介します。
社内にあるナレッジの可視化を進める
DXの第一歩は、自社の「見える化」から始まります。
どんなに優れたシステムを導入しても、現状を正しく把握できていなければ改善の方向性は定まりません。
しかし、製造業では長年の経験や勘が「暗黙知」として個人の中に埋もれているケースが多く、自社の強みや課題を客観的に把握できていない企業も少なくありません。
だからこそ、まずは以下のような取り組みが求められます。
- 現場担当者へのヒアリングで、業務手順・判断基準を言語化
- 技術ノウハウやトラブル対応をドキュメント化・共有
- システムを活用し、工程・実績・品質データを一元管理
意識改革を図りデジタル化を加速する
DXを本格的に進めるには、現場の意識改革が不可欠です。
どれだけシステムを導入しても、このような意識が残っていれば、変革は進みません。
自分たちの仕事とは関係ない
慣れたやり方のほうが早い
現場が納得し、積極的に関わるためには、次のような工夫が効果的です。
- 小さな成功体験を共有し、デジタル化の価値を体感してもらう
- 目標を「現場の課題解決」や「業務の負担軽減」と結びつける
- 経営層がビジョンを明確に示し、全社一丸で推進する体制を築く
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)『ものづくり産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応した人材の確保・育成や働き方に関する調査結果』
データを分析・活用する
DXの本質は、「データを活かして意思決定する文化」を根付かせることです。
業務をデジタル化することで、これまで見えなかった情報を収集・蓄積できるようになります。
そこから得られるデータを分析し、現場改善・品質向上・原価削減につなげることが、DXの最大の成果です。
たとえば、製造現場のIoT化によって設備データを収集すれば、次のような“再現性のある現場改善”が可能になります。
- 不具合の予兆を検知し、メンテナンスの最適化が可能になる
- 稼働状況を可視化して、生産性のボトルネックを発見できる
- 従来は職人の勘に頼っていた部分を数値として可視化でき、技術継承に役立てられる
より自社の強みを発揮しやすくなり、新たな市場参入の足掛かりにもなるでしょう。
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製造業のDX推進に役立つ、取組事例
製造業のDXを進める際は、他社の事例を参考にすることが効果的です。具体的にどのような取り組みが行われているのかを知ることで、自社のDX推進に役立つ学びが得られます。
ここでは、製造業DXの事例を紹介したおすすめの資料を2つ紹介します。同業他社や、自社の目指す姿に近い企業の取り組みは、DXを進める際の参考になるでしょう。
「中堅・中小企業等におけるDX取組事例集」
経済産業省が公開している「中堅・中小企業等における DX 取組事例集」は、製造業を含む国内企業のDX事例をまとめた資料です。
本資料では、各企業の事例について以下の観点から紹介しています。
- 取り組みの背景・課題
- 実施した施策
- 工夫や成果
- 今後の展望
中堅・中小企業の実例を中心にまとめられており、同規模の企業がDXを進める際に直面する課題や工夫の把握に役立ちます。自社のDX推進に活かせる実践的な事例集として参考になるでしょう。
「DX銘柄2025」
「DX銘柄」とは、日本企業のデジタル化を促進するために行われている取り組みの一つです。経済産業省・株式会社東京証券取引所・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で、DX推進の取り組み実績が優れている企業を認定します。東京証券取引所に上場している企業のうち、「DX認定」を取得しているなど一定の条件を満たしている企業が選定対象です。
選定された企業の情報は、経済産業省の「選定企業レポート」に掲載されます。レポートにはDXの取り組みのほか、経営ビジョン・ビジネスモデル、戦略、戦略実現のための組織・制度なども紹介されています。
DX銘柄に選定された企業は、単にIT技術を利活用しているだけでなく、既存のビジネスモデルに変革を起こしている企業です。同じ取り組みを行うだけでDXを実現できるわけではありませんが、自社の方向性を定めるための参考になるでしょう。
参考:経済産業省・株式会社東京証券取引所・独立行政法人情報処理推進機構『DX銘柄2025』

製造業のDX化に役立つ生産管理システム「ProAxis」
製造業DXに役立つシステムとして、キッセイコムテックが作成・提供している生産管理システム「ProAxis」をご紹介します。
生産管理システム「ProAxis」の導入メリット
ProAxisは、受注管理、生産計画、在庫管理など、製造現場のさまざまな工程を一括管理できる統合型のシステムです。
製番BOM運用による個別受注生産と多品種少量生産の両方に対応可能で、現場のさまざまな作業を一元管理することによる、DX推進を加速します。
メリット1.使いやすい操作性
製造現場の使い勝手を重視した操作性で、現場の作業不可を軽減しながら運用できます。
- シンプルな構成のマスタで日々の追加・修正も簡単!
- さまざまな入力デバイスに対応(ハンディーターミナル、タブレット、キーボード、マウスなど)
メリット2.製造現場のニーズに沿ったシステム構築
製造現場ニーズを重視しており、「適応性」「操作性」「柔軟性」を兼ね備えたシステムとなっています。在庫、進捗状況、負荷情報などを見える化して、納期順守や人員調整などをサポートします。
さまざまなオプションも用意しており、柔軟なカスタマイズで、標準機能では実現できない機能要件も高いレベルで実現可能です。
貴社の強みを生かした、柔軟なシステム構築をご提供します。
メリット3.安心の“One Stop Service”
ProAxis導入にあたっては、課題の掘り起こしから、分析、提案まで、解決ソリューションをご提供します。
要件定義から本稼働まで、品質・進捗管理を徹底。本稼働後は、お客様ごとに専用の保守問合せ窓口「i-Support」をご用意し、万全のサポート体制でフォローしていきますので、ご不明な点やトラブルがあればすぐにお問い合わせいただけます。
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製造現場のDXを進めて、事業変革につなげよう
製造業にとって、DXの推進は必須の取り組みです。「新しい社会環境に適応できるビジネスモデルへの変革」という最終的なゴールを目指す過程で、業務効率の改善や生産性の向上など、多くのメリットも期待できます。
DXに必要となるデジタルツールは、企業によって異なります。まずは自社の業務プロセスを細かく洗い出し、必要に応じて外部サービスも活用しながら、自社に合った形でDXを進めていくことが重要です。
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